ヘルシーライフ
暖房器具がもたらす健康トラブル
寒いこの時期、ストーブや電気こたつ、ホットカーペットなど、さまざまな暖房器具やグッズが大活躍。ところが、こんな便利な暖房器具やグッズも、適切でない使い方をすると思わぬ健康トラブルを招くことがあります。毎日使うものだけに、日ごろからの注意が必要です。
湯たんぽやカイロ、こたつ、ホットカーペットなどは心地よい暖かさを提供してくれますが、その熱が体の同じ部位に長時間あたり続けると、やけどを起こすことがあります。これを「低温やけど」といいます。
最初は皮膚が赤くなったり、少しひりひりした感じがするだけなので軽視しがちですが、時間とともに熱が皮膚の深い組織にまで伝わり、またその範囲も広がり、重症化していきます。こうなると皮膚の色は白みを帯び、さらに灰白色や黄色っぽい色へ、時には黒く変化します。特に、加齢により感覚が鈍くなっている高齢者や、病気の影響で神経が障害され知覚が鈍くなっている人は、低温やけどになりやすいので注意しましょう。
低温やけどを防ぐためには、カイロは直接肌に触れさせたり貼ったりしない、電気あんかや湯たんぽは寝る前に布団を温めるために使い、就寝時には布団から取り出す、ファンヒーターの吹き出し口や電気ストーブなどの付近で寝入らないなどを心がけましょう。なお、低温やけどが疑われた場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
この時期の空気は乾燥しています。暖房で部屋を暖かくし過ぎると、空気はいっそう乾燥し、皮膚から水分がどんどん蒸発していき、かゆみが生じたり、赤みのある湿疹ができたりします。また、室内の乾燥は涙の蒸発を促し、目を乾燥させ、目がゴロゴロする、目が疲れるといった症状を引き起こします。また、口腔の粘膜が乾燥すると、ウイルスを防御しにくくなる一方、インフルエンザウイルスが活発化するため、インフルエンザ感染の危険が高まります。
部屋の湿度がどのくらいか、肌感覚で計るのは難しいものです。できれば湿度計を用意し、チェックしましょう。湿度40%以下は空気が乾燥しています。加湿器を利用したり、濡れタオルや洗濯物を室内で干したりして、湿度が50%前後になるようにしましょう。
この時期、多くなる事故の一つが一酸化炭素中毒です。灯油やガスを使ったストーブやファンヒーター、湯沸かし器などを換気の悪い部屋で使うと、一酸化炭素が発生することがあります。それを吸うことにより体内の酸素が不足し、酸素が全身に行きわたらなくなり、最悪の場合、死に至ることもあります。ストーブやファンヒーターなどを使うときは、こまめに換気をしましょう。
暖房器具を使っていると空気も乾燥します。皮膚がかゆい、目の乾きを感じるなど、気になる症状があるときは気軽に薬剤師にご相談ください。
<イラストレーション>堺直子