ヘルシーライフ
夏の心筋梗塞に気をつけて
心筋梗塞というと、冬に多いという印象がありますが、夏にも心筋梗塞が起こりやすいことがわかっています。8月10日は「健康ハートの日」。心筋梗塞をはじめとした心臓病の発症リスクを高めるような生活習慣を続けていないか、この機会に振り返ってみましょう。
心筋梗塞は心臓に血液を供給する冠動脈が血栓(血の塊)によって詰まってしまう病気です。暑い夏には、多くの汗をかきます。このとき水分を十分に補給しないと、体が脱水状態になり、血液中の水分が減り、血液の粘度が増して血栓ができやすくなります。
夏の心筋梗塞は夜間に多く発症するといわれています。寝ている間は水分の補給ができないため、脱水が起こりやすいことがその要因として考えられています。
心筋梗塞の代表的な症状は強い胸の痛みです。この発作は通常、30分~10時間程度続きます。胸以外に、肩や背中、首などに痛みが出てくることもあります。
皮膚が冷たく大量の冷や汗が出たり、顔色が真っ青になっている場合は、危険な状態に陥っていると考えられます。周囲の人は一刻も早く119番に連絡して救急車を呼んでください。その際は「誰が、いつ、どこで、どうなったか」を要領よく伝えましょう。救急車が来るまでに心臓マッサージをしたり、AED(自動体外式除細動器)を用いて処置をすれば命が助かる可能性が高くなります。
なお、お薬手帳があると、医療機関ではより適切に対応できます。お薬手帳は常にバッグに入れるなどして、いつでも医療スタッフに提示できるようにしておくことをおすすめします。
心筋梗塞の主な原因は動脈硬化です。動脈硬化の進行には食習慣の乱れや運動不足、肥満、喫煙、ストレスなどの生活習慣が大きく関係しています。動物性脂肪や塩分の摂りすぎに注意し、栄養バランスのよい食事を規則正しくとる、ウォーキングなどの有酸素運動とストレッチや筋肉トレーニングを組み合わせた運動を行う、ストレス解消に努めるなどを心がけましょう。心筋梗塞の危険が高まる夏は脱水を防ぐために、のどの渇きがなくても、定期的に水分をとることが大切です。就寝前、起床後、夜間トイレに行ったあと、入浴の前後にはコップ1杯の水分をとることを忘れないようにしましょう。
心筋梗塞についてわからないことがある場合は薬剤師に気軽にご相談ください。
<イラストレーション>堺直子