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風疹は、大人こそ注意が必要

風疹というと子どもがかかる病気という印象が強いですが、近年の風疹患者の中心はむしろ大人です。中でも多いのが働き盛りの30~50歳代の男性。大人がかかると、子どもに比べて症状が現れている期間が長引き、1週間以上仕事を休まなくてはならない場合もあります。
 

赤い発疹や発熱などの症状が

昨年、大きな問題となった風疹は、今年も引き続き注意が必要です。 風疹は風疹ウイルスが原因で起こります。くしゃみや咳を通して、あるいは鼻汁などの分泌物に触れることでも感染します。感染後2~3週間で、赤い小さな発疹が顔や全身に現れたり、38℃前後の発熱、耳や首の後ろのリンパ節の腫れなどの症状がみられます。子どもでは、まれに脳炎や血小板減少紫斑病などの合併症が起こることがあります。大人の場合は、強い関節痛が現れることが多く、また、発疹や発熱が長引いたり、重症化することもあります。現在、風疹そのものに効く治療法はなく、安静にすることが第一です。熱が高い場合には解熱剤、痛みには鎮痛薬が使われることがあります。
 

2回の予防接種がより有効

風疹で最も注意が必要なのは妊婦さんへの感染です。妊娠20週くらいまでの妊婦さんが風疹にかかると、お腹の中の赤ちゃんに感染し、難聴や心疾患、白内障、精神や身体の発達の遅れなどの障がいをもった先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれる可能性があります。
先天性風疹症候群や風疹を予防するには、体内に十分な抗体ができるとされる2回のワクチン接種が理想的です。しかし、国の定期接種で男女ともに2回の接種ができているのは、1990年4月2日以降に生まれた人たちです。これより年上の人は、感染の危険が高い可能性があります。中でも現在、患者の中心を占める30~50歳代の男性は、国の定期接種の制度変更の影響で抗体の保有率が低い年代とされています。
接種を受けていない人、受けたかどうか不明な人、風疹にかかったことがあるかどうかわからない人などは、自分や家族を風疹から守るために、予防接種を受けるようにしましょう。なお、すでに風疹ウイルスに対する抗体をもっている人が再度接種を受けても問題はありません。ただし、妊娠中は予防接種を受けることはできません。
 

定期接種の対象児は、基本的に無料で受けられます

風疹の定期接種は、1歳児および小学校入学前1年間の幼児の場合は、自治体の補助により無料あるいは若干の自己負担で受けられます。それ以外の年齢の場合は、全額自己負担となるので、接種を行っている医療機関に問い合わせるとよいでしょう。料金はそれぞれの医療機関で異なります。
風疹についてわからないことがあるときは、気軽に薬剤師におたずねください。
 
風疹の流行に伴いワクチンの需要が急増し不足気味になっています。予防接種を受ける際には前もって医療機関に確認しましょう。
 
風疹は、大人こそ注意が必要
 

<イラストレーション>堺直子