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50歳以上の人はピロリ菌感染の可能性が大

ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく細菌で、正式には「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。ピロリ菌に感染すると、胃潰瘍や胃がんの発症リスクが高まるとされています。最近はピロリ菌除菌療法の公的医療保険の適用範囲が広がり、除菌療法を受ける人が増えています。
 

胃の粘膜ですみやすい環境をつくるピロリ菌

ピロリ菌の感染者のほとんどは50歳以上です。この世代は、上下水道が整備されていない時代に乳幼児期を過ごしたため、ピロリ菌に汚染された水を飲むなどして感染したと考えられています。当時に比べ衛生状態が格段によくなった現在では、若い世代の感染率は低くなっています。
体内に入ったピロリ菌は胃の粘膜にすみつきます。胃の中は胃液による強い酸性の環境にありますが、ピロリ菌は、酵素を産出し尿素を分解することでアルカリ性のアンモニアを産生し、胃酸を中和して自分の周囲にすみやすい環境をつくり出します。また、毒素を産出して胃粘膜を傷つけます。これらのアンモニアや毒素は胃炎を引き起こし、慢性化すると胃潰瘍になりやすくなったり、胃がんの発症リスクを高めたりします。
 

検査や除菌療法に公的医療保険が適用される場合も

ピロリ菌に感染しているかどうかは、(1)内視鏡で胃の粘膜の一部を採取して調べる「内視鏡検査」、(2)診断薬を服用し、服用前後の呼気を調べる「尿素呼気試験」、(3)採血や採尿をして抗体の有無を調べる「抗体検査」、(4)便中の抗原の有無を調べる「便中抗原検査」などで調べます。
こうした検査によりピロリ菌に感染していることが明らかになった場合、ピロリ菌を排除するために除菌療法を受けます。除菌療法では、2種類の抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬を1日2回、1週間服用します。この除菌で成功しなかった場合には、一部を別の薬に変えて再び除菌療法を行います。2回目までの除菌療法で95%以上の人が除菌に成功すると報告されています。
なお、胃潰瘍や十二指腸潰瘍があったり、内視鏡検査で胃炎と診断されてピロリ菌検査を受けた結果、陰性の場合は検査に、陽性の場合は検査と除菌療法に公的医療保険が適用されます。

 

除菌したあとも定期的に胃がん検診を受けよう

ピロリ菌の除菌に成功したからといって、胃がんの発症リスクがゼロになったわけではありません。定期的に胃がん検診を受けたり、塩辛いものを食べ過ぎないなど食事に気をつけることも大切です。また、胃に痛みがあるときなどは早めに医療機関を受診しましょう。
ピロリ菌やピロリ菌除菌療法についてわからないことがあるときは、気軽に薬剤師にご質問ください。