ヘルシーライフ
認知症を防ぐ生活習慣とは?
最近のさまざまな研究で認知症が生活習慣と深い関係があることがわかってきました。認知症を完全に防ぐことはできませんが、生活習慣に気をつけることで発症を遅らせることはできそうです。
認知症の危険因子の1つは加齢ですが、それ以外に糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病があると認知症の発症リスクが高まることが明らかになっています。例えば長年にわたる疫学調査で、糖尿病の人はそうでない人に比べ認知症を発症させる割合が約2倍という結果が出ています。高血圧については、高齢期に入って高血圧になった人たち以上に、中年期からずっと高血圧である人たちのほうが認知症の発症率が高いことがわかっています。
逆にいえば、生活習慣病を予防することが認知症の予防につながるのです。それには生活習慣の見直しが大切です。
生活習慣病や動脈硬化の予防には適度な運動が欠かせませんが、実際、さまざまな研究で運動は認知症の予防効果が高いことが明らかになっています。アルツハイマー病を発症した人の脳には、脳の中の老廃物「アミロイドβタンパク」の蓄積がみられます。運動はアミロイドβタンパクを溜まりにくくさせる効果があるとされています。
息が軽く弾む程度の有酸素運動を1日30分、週に3回以上行うのが理想ですが、それが難しいときは掃除をする、買い物に出かけるなど、日常生活の中でこまめに体を動かすように心がけましょう。また、有酸素運動をしながら、思考力を働かせる計算やしりとりを行うのもおすすめです。
食事も重要です。野菜や大豆・大豆製品、魚、海藻類が中心の和食を食べている人ほど、あるいはビタミンCやビタミンE、βカロテンを食事で多く摂取している人ほど、認知症になりにくいという研究報告が出ています。こうした食事は生活習慣病や動脈硬化の予防にも役立ちます。
牛乳・乳製品も積極的に摂りましょう。血糖コントロールを助けるといわれる成分(ホエイ蛋白)や認知症の発症リスクを下げるカルシウムやマグネシウムなどを豊富に含んでいます。
食べ過ぎは生活習慣病や動脈硬化を促進させ、ひいては認知症発症のリスクを高めます。昔からいわれるように、腹八分目にとどめておきましょう。
喫煙している人は禁煙を、日ごろから多量にお酒を飲んでいる人は適量を心がけることも認知症予防になります。