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耳の聞こえはいかがですか?

年を重ねると、老眼になったり、食べ物の飲み込みが悪くなるだけでなく、耳も遠くなってきます。ただし、聞こえが悪くなるのは加齢が原因とは限りません。3月3日は耳の日。耳の聞こえに少し関心をもってみませんか。
 

音が聞こえる仕組み

耳は外耳、中耳、内耳の3つの部分から成り立っています。外耳から入ってきた音は鼓膜を振動させ、その振動が中耳にある耳小骨(じしょうこつ)に伝わります。ここで振動が増幅され、内耳にある蝸牛(かぎゅう)に伝わります。蝸牛には音を感知する有毛細胞があり、振動により有毛細胞が刺激されると振動は電気信号に変えられます。電気信号は聴神経を通って大脳の聴覚中枢に達し、はじめて音として認識されます。これらの経路のどこかにダメージが生じると、聞こえが悪くなります(難聴)。
耳の働きは音を伝えるだけではありません。内耳にある前庭(ぜんてい)と三半規管では、体の平衡を保つ働きもしています。

 

高音や子音から聞こえなくなる加齢性難聴

年をとるにつれ、有毛細胞の毛が折れたり抜けたりしてきます。そのため、次第に音が聞き取りにくくなります。しかも通常、振動回数が多い高音から聞こえなくなります。これは高い音を感じる蝸牛の根元にある有毛細胞から壊れるためです。また、母音よりも、同じく振動回数が多い子音の聞こえが悪くなり、「高い」を「赤い」に聞き間違えるようなことが起こります。
加齢によって聞こえが悪くなることを加齢性難聴といいます。有毛細胞はいったん壊れてしまうと元に戻らないため、加齢性難聴の回復は難しいといわれています。聞こえが悪くなると、電話やドアチャイムの音に気づかないなど生活に支障が生じます。また、何度も聞き返さなくてはならなくなり、会話に参加しづらくなることもあります。このような生活の質(QOL)の低下がみられる場合は補聴器で聞こえの悪さを補うとよいでしょう。補聴器にはさまざまな種類があります。自分に合った補聴器を選ぶために、まずは耳鼻咽喉科を受診して難聴の原因や聴力の程度を診断してもらいましょう。

 

耳の不調があるときは早めに耳鼻咽喉科を受診

加齢性難聴以外にも、聞こえの悪さをもたらす病気はたくさんあります。例えば中耳に何らかの炎症が生じる中耳炎、文字どおり突然に音が聞こえなくなる突発性難聴、めまいを伴うメニエール病などです。
片方の耳の聞こえが悪くなった、急に聞こえが悪くなった、耳だれやめまい、耳鳴りなどの症状があるといったときは、加齢性難聴以外の病気が疑われます。中には時間が経つと治りにくくなる病気もあるので、速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳の聞こえはいかがですか?